ひとつ屋根の下、殺し愛

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「妻神は山の神の嫉妬から逃れ、ここにいたの。殺される前に、間男と抱き合っている姿を見せつけたの。ねぇ、せっかく死ぬのなら、山の神に見せつけてから一緒に逝きましょう?」  気持ちは冷めているというのに、リクヒトの身体は反応していた。セツナの手で雄を扱き上げられ、身体に熱が戻っていく。  外では山の神やその御遣いがリクヒトを狙っているというのに、セツナはそんなことどうでもいいわと性技を施す。 「セツナ……なんで」 「理由が必要? そんなこと、どうだっていいじゃない」  死の危機を感じた際に生殖本能が覚醒するのはいまにはじまったことではないのだから、と。    * * *  予備電源が切れた山小屋は薄暗く、光源となるものは乾電池でつかえる懐中電灯だけ。  それでも寝台のうえのシーツが白いからか、はだかのふたりは互いを目と手で認識できていた。 「かわいそうなリクヒト。かつての恋人を親友に奪われて、それでも友達のふりをして……」 「セツナに、そんなこと言ったか?」 「言ったの。赤ちゃんが泣いてたの。かわいそうね。山の神でなくても許さないわ」 「ッ」
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