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「…嘘つき」
まだベッドに寝転がったままの舞香はもう一度携帯の画面を見る。
そして、去年の動画を見返す。
ーヒュ〜…ドーン!!
「死ぬなよ」
というメッセージと共に拓海から送られてきたその動画は去年の今日、保存していた。
2歳年上の拓海は、今年大学3年生になった。お互い大学生でこの夏はたくさん遊べると思いきや、拓海はインターンシップで忙しくしているらしい。
花火大会の日は空けておくように舞香が言っておかなければ、予定を埋めてしまったのではないかと思う程、忙しい人になってしまった。
これでは週2回家庭教師に来てくれていた去年の方が会っていた気がする。
ようやく会えると思った当日のドタキャン。
それも去年の約束の、花火大会の日に…。
ーヒュ〜…ドーン!!
携帯から花火の音が鳴り響く中、舞香はそのまま眠ってしまった。
それからしばらく、拓海とは連絡を取らなかった。
何度か連絡は来ていたが、拓海が忙しいのは知っていた。埋め合わせなんていつしてもらえるかもわからないのに、返事を返す気になれなかった。
舞香もせっかくの夏休みなので友人と遊んだり、バイトに明け暮れたりと忙しく過ごし、拓海のことを考えないように過ごしていた。
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