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その後も、子供達のドリンク作りは順調に進み、ボランティア講師の授業は終わった。講師が、「後片付けをした子供には、残ったお菓子を一つあげる」と伝えた途端、子供達は使い終えたコップやスプーンを積極的にゴミ袋に入れていった。講師は、その行為をした子供に残ったお菓子を好きに選ばせ、この講義はほぼ喜びに満ちて終わった。
子供食堂に比べて無料学習塾の開催日は少なかった。この為、少年が大人の力を借りて学ぶ機会は、同級生に比べて少なかった。それでも、少年は同級生に離されないよう努力をしていた。
そんな中、小学校の高学年を対象にした無料学習塾が開催される。今回は、対象や人数制限もあり、講師の使う机は大きなものに変わっていた。
「今日の授業は、色々やるぞ!」
不定期で開かれる無料学習塾に、少年は可能な限り通っていた。教科書以外からの知識を得ることを、少年はまるで獲物を逃さない飢えた獣の様に食い付いている。
「先ずは、砂糖を水どんどん溶かして行く」
講師は、机にアルコールランプを乗せた。それから、ビーカーやガラス棒など、実験器具を次々に乗せていく。それから、ビーカーに水を入れると、砂糖を机に置いた。
「何となく、砂糖は冷水よりお湯の方が溶けるって分かるだろ? でも、どれ位違うのかは、表で見るだけじゃピンとこない。だから、実験をして確認する」
講師は水温を測り、そこから溶けきる砂糖の量を子供達に伝えた。そして、実際にその量の砂糖を水に溶かし、透明な液体を子供達に見せる。
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