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「これで、前半は終了」
講師は、実験器具を机の端に移動させた。それから、イチゴやモンキーバナナを机に乗せる。
「後半は、算数の授業だ。まあ、イラストを使ってのクイズ形式だから、気楽に楽しんでくれ」
講師の言う通り、提示されたイラストには、天秤と天秤皿に載せられた果物が描かれていた。その果物は、今まさに机に乗せられている種類だった。
「見ての通り、リンゴ一個とバナナ二本は釣り合っている。バナナ三本とイチゴ五個もだ」
講師は、子供達の反応を見ながら説明を続ける。
「問題を十問用意してきた。正解者には、その答えと同じだけの果物を進呈する。例えば、答えがリンゴ二個だったら、リンゴを二個だな。ただし、答えてご褒美を貰えるのは一度きりだ。つまり、どの問題にも解答者が居れば、人数分行き渡る。だが、お目当ての果物に当たるかも、その個数も賭けだな」
その話に、子供達はざわついた。
「あ、そうだ。答える個数の果物がバナナかイチゴだったヤツには、レンチンで出来るチョコフォンデュの元もプレゼント」
講師は、五人分のチョコフォンデュの元と、小さなフォークを机に置いた。
「さて、準備も済んだし、始めるか」
それから、講師によるご褒美付きクイズが始まった。問題が出た後で素早く手を上げて解答する者も居れば、様子見をしている者も居た。また、講師は正解者が出る度にご褒美を渡した。そのご褒美によっては、部屋に電子レンジの終了音が響く。
そうして、天秤皿に多くの果物が乗った問題が出た時、子供達は悩んだ。そんな中、一人の少年が手を上げる。
「十個です」
「正解だ」
講師は、イチゴ十個を少年自身に選ばせ、電子レンジのスイッチを入れる。その後も、用意された問題が無くなるまで授業は続き、自分自身で選んだイチゴを得た少年は、幸せそうにご褒美を堪能するのだった。
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