放置子の夏休みはサバイバルである

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 夏休みに入ってからというもの、少年が得られる食べ物は減ってしまった。また、少年の家に冷房は無く、暑い時間帯に死を回避する為の居場所を、少年は転々としていた。彼は、比較的涼しい時間に宿題を進め、後はどう夏の暑さをどう耐えるかに時間を割いた。他の子供達が、旅行やテーマパークで楽しんでいる中、少年は涼しい場所を求めて彷徨っていた。  学校のプールが解放される時はプールへ向かい、子供食堂が開かれる日には教会へ足を運ぶ。そのどちらにも行けない日には、音を立てず気配を消せば、他者からは構われない広い店で少年は過ごした。  少年は、暑さから逃れる為に、様々な場所を歩いて回った。惨めで哀れな少年には、自力で遠くまで行ける自転車が与えられことなど無かった。この為、少年は底の擦り切れた靴を酷使しながら、滞在場所を求め続けた。
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