放置子の夏休みはサバイバルである

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 冬場は、寒くとも布団に包まっていれば耐えられた。なにより、冬休み期間は半月も無い。夏休みに比べれば、生き残る難易度は低かった。夏の日差しは少年の肌を焼き、それを心配する家族は居ない。  夏休み期間は、教室で友達と会うこともない。暑さと空腹、皮膚の焼ける感覚と孤独が少年の体と心を少しずつ蝕んでいった。それでも、少年は生き続けることを選択し続ける。  夏休み後半、いよいよ少年の体力は限界に近付いていた。それでも、近しい人間の死を知らない少年は、「人間は誰しも死ぬこと」を理解してはいなかった。彼は、辛くともそれを殆ど表に出さず、それは「見ようとはしない者」からすれば、ただの細身の少年でしか無かった。或いは、少年の置かれた状況に気付いたとしても、赤の他人が彼を助けようと動くことはなかった。
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