放置子の夏休みはサバイバルである

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 何度、飢えて亡くなる子供のニュースが報道されようと、その度に保護者や児童相談所がネット上で激しく責められようと、「現在進行形で苦しんでいる子供に手を差し伸べようとする者」はあまりにも少ない。  幸いにも、少年の周囲には何人かの「見ようとする者」が居た。しかし、他者が手を差し伸べるにも限界がある。下手な手出しをすれば、子供を救おうとした側が訴えられる可能性さえある。この為、少年を「見ようとする者達」は、その時の為の準備を水面下で進めていた。  夏休み期間のプール解放日、少年は少しでも気を紛らわせる為に、自らの置かれた境遇から目を逸らす為に学校へ向かった。そうして、一番暑い時間帯を学校のプールで過ごした後、少年は濡れた水着やタオルを学校指定の袋に入れて下校する。
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