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少年の体力は、プールに入ったことで消耗されていた。多くの大人が経験してきたことであるが、体育で習う競技の内、授業の後で一番眠気を誘うのは水泳である。暑さを避ける快適さの反面、水泳は多くのエネルギーを体から奪う。水温や水圧、陸上競技には無い要素が、体からエネルギーを奪っていくのだ。
そうして、少年は思っていた以上に弱り、まだ高い位置にある太陽に照らされている内に気を失い、倒れてしまった。八月のアスファルトは少年の肌を焼き、背後からも陽光が少年を焼く。気を失ったままの少年はその状況から動くことは出来ず、時間だけが過ぎていった。
それから幾らかの時間が経っただろうか、偶然通り掛かった主婦が少年を見付け救急車を呼んだ。不幸にも、その近くに日陰はなく、少年に水分を摂らせようにも反応がない。少年の呼吸は速く細かかったが、確かに息はしていた。この為、主婦は日傘を少年に立て掛け、小さなタオルを濡らして少年の頭に乗せる。
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