天の国は誰の為にあるのか

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天の国は誰の為にあるのか

 少年がポスターを貼ってから数日後、子供食堂が開かれる曜日となった。給食以外にまともな栄養を摂れていない少年は、未知の世界に怯えながらも、ポスターに記載されていた教会に向かう。  教会の前には、既に何人かの子供が集まっていた。その中には、少年の様に着古された服を纏う子供も居れば、傍目からは飢えているとは思えぬ子供も居る。少年は、他にも子供が居ることで幾らか安心し、他の子供達の動きを観察した。  教会前に集まった子供達は、それぞれに距離を取りながら立っていた。中には、スマートフォンやゲーム機を操作している子供も居り、その子達が金銭的には不自由していない様に少年には映った。  程なくして教会の扉は開き、子供達は小走りで屋内へと入った。少年と言えば、警戒をしながらも他の子供達の後を追う。  少年が建物に入った時、そこには灰色の髪を持つ神父の姿が在った。その神父は、少年を上から下まで見た後、口角を上げて話し始める。
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