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石上、男を見せろ!
今日は、金曜日、
里子のお見合いの日まで残すところあと
二日……。
編集部内は、里子のお見合いの
話で持ち切りだ。
「なぁ……山辺さん、やっぱり
お見合いするのかな?」
「編集長の手前、やらざるを得ないでしょう」
「そうだよな。取引先の社長からの直々のご指名だからな」
「でも、いいよな~、『玉の輿』
俺も女に生まれたかった」
里子が、小声で話す同僚をじっと見つめる。
それに気づいた同僚は……、
「おい……馬鹿、本人に聞こえるぞ……」
二人は、愛想笑いを浮かべると、
慌てて下を向き原稿に目を通すふりをする。
「はぁ~」溜息をつく里子。
「山辺さん、どうするんですか?お見合い」
村尾が心配そうな顔で里子に聞いて来た。
「どうするって……仕方ないよ、編集長の顔を
潰すわけいかないし……」諦め顔の里子。
「先生からは、何か連絡ありましたか?」
「……」無言で首を横に振る里子。
「あ~もう、何やってんだよ!あの人は……」
と村尾が呟いた。
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