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一時間程前に遡る……。
リーン、リーン石上の家の電話が鳴った。
受話器を取る石上……。
「はい、もしもし石上ですが……」
少し小声の石上に、
「先生ですか?村尾です」
「ああ、村尾君、どうしたの?」
「先生、今日は金曜日ですよ」
「ああ、知ってるよ、そのくらい」
「どうするんですか?」
「どうするんですかって……」
「山辺さんのお見合いのことですよ」
「……」
「いいんですか?
山辺さん、そのままにして……」
「……」
「あ~もう、先生!イライラするな。
そろそろ、この辺で『男を見せる』時なんじゃないんですか?」
「男を見せる時……」
受話器越しに聞こえる石上の声に
「そうですよ。先生!
『今こそ!男を見せる時』ですよ」
と元気付ける村尾。
「でも、どうやって……」石上の言葉に、
「う~ん、そんなのは、自分で考えて
下さい!いいですか?先生、必ず
『男を見せて』くださいよ!じゃあ」
と言うと村尾が一方的に電話を切った。
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