4 デート?

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「………」 前世、天界最高神の龍神の巫女は忽然と姿を消した。 それが、瘴気に取り込まれていた? 榊や最高神の龍神がいくら探しても見つからなかった。 すり、と目を閉じたままの美也が榊の手に自分の頬をこすりつけた。 「美也?」 「んん~、ちゃんと撫でてください~」 「あ、ああ……」 美也が目を閉じたまま言葉を発したので、寝ぼけているのか起きているのか榊は判別しかねたが、美也の言う通り頬や頭を撫でる。 すると、美也の顔はにへら、とゆるんだ。まだ目は開けない。 「そーですそーです。ねえ榊さん、約束、憶えてますか?」 「約束?」 榊が返すと、美也はぼんやりした声で答えた。 「二人で幸せになりましょう、って……」 「―――」 「あれ? お前は幸せになる、でしたっけ? う~ん? よくわからない……まあどっちでもいいです。榊さん、私のこと迎えてくださいね」 ぼんやりした美也の声。 「―――」 帯天の膝に頭を載せたままの美也を抱き寄せて、きつく腕の中に閉じ込める。 「……え? 榊さん? あれ? あの……?」 今意識が戻ったというように、美也は慌てた。先ほどは寝ぼけていたのだろうか。 「美也……ありがとう」 「え? どうしたんですか? 私、なんかしました? あ、帯天さん、こんにちは」 帯天は慌てたようにこくこくとうなずいた。 美也が帯天に二度目の挨拶をしたことから、先ほどのことを憶えていないとうかがえる。 「榊さん? ……大丈夫、ですか?」 「ああ……」 榊が言葉を贈ったのは、巫女に対してだった。 お前は幸せになる、と言葉を贈ったのは、美也にだった。 ――巫女は榊のことを、榊様、と呼んでいた。 ……美也と巫女を分けて考えなければいけないと、榊は自分を戒めてきた。
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