この悪い夢の終わりには

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 叫ぶ。ただ叫ぶ。蝉の声が響く、熱気籠った建物の中で。汗か水か分からなくなるほど全身を濡らして。  恐怖に脳が焼かれる。ほとんど何も考えられず、半ば本能的に叫び続けた。   「助けて! 兄さんを助けて!」    二人の楽園だったプールの中、兄が静かに沈んでいく。
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