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美咲は淡々と喋った。 卓治はア然とした。 こういう子供だったのかと。 そー言えば6年前会った時も、卓治に笑顔で語りかけてくれてたのを思い出した。 何事も気にしない、そういう性格なのか。 それとも内心、打撃はあるが、虚栄をはっているのかは、それは読み取れ無かったが、ただ、しっかりしているというか、ませてるなというのは判った。 しかしそれで卓治の肩も少し、ゆるくなった。 オレの方が気を使い過ぎていたなと。 「お父さんが居なくなって、すぐ里子オバサンが来たの?」 卓治は訊ねた。 「えっとな…オトン出てった夜は、アパートに1人やったわ。 ゴハンは作って食べた。 次の日は、学校は行ったよ。 で、その夜、里子さん、来てん。 多分、オトンが里子さんに連絡入れたんやろな。 その時、状況を聞かされて、住んでた堺のアパートから京都のオバサンの団地に行った」 「そうだったのか。向こうでの学校の手続きは済んでるって叔母さん言ってたけど」 「らしいな。最初、向こうで通てた大阪堺の学校から京都伏見の学校に転校したんやけど、学校は問題無かった。 けど、オバサン家は居心地悪かったわぁ。 アソコの兄弟にもイジメられてたしな。 1度、さすがにカーっとなって、上の中学生のハルオ、引っ叩いたことあんねん」 美咲は卓治の目の前で右手を振った。 「引っ叩くって…それはよくないなぁ」 卓治がしかめっ面をすると 「よくないなって、ウチはそれ以上の仕打ちを受けててんから。 卓ちゃん、アソコの兄弟知らんからや。 ムッチャ我慢しとってんで。 今考えても腹立つわ。 アノ兄弟には。 あれはロクな大人にはならんな」
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