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 次の日。 卓治は「急用が出来たので遅刻する」と、会社に連絡を入れ、美咲を学校へ連れて行った。 校長室を訪ね、また校長に挨拶をしたアト、職員室を訪れた。 50人ほどいる教職員に、校長は転校の経緯  (といっても、両親の離婚の話しはしないが、とある事情があって、オジの所に世話になることになった)を説明した。 クラスは5年2組と決まっていたらしく、その担任、山ノ口南先生が 「よろしくね」 と、前へ出てきた。 山ノ口先生は32歳、独身であった。 職員室の隣の個室で、これからのコトを、山ノ口、卓治、美咲の3人で、イイ感じで軽く雑談していると、チャイムがなったので、3人一緒にクラスに向かった。 「それじゃ自分はこれで。 美咲のコト、よろしくお願いします」 卓治は教室の入り口の前で、頭を下げた。 山ノ口先生も、少し、はにかみながら会釈した。 「頑張れよ」 卓治は軽い笑みを美咲に向けると、その場から立ち去った。 南先生が教室に入ると、ざわめいていた室内は静かになり、立って移動していた生徒達も着席した。 「今日は転校生を紹介します」 南先生が教壇に立ち、皆に目を向け、そう言うと、廊下で待っていた美咲が教室へ入ってきた。 先生の脇に立って、皆を見下ろす。 逆に30人ほどの生徒達は、穴の開くほど、美咲に集中する。 先生が黒板に大きく 「御陵美咲」 と書くと 「御陵美咲さんです。みんな仲良くしてあげてね」 と、生徒達に向けて言ったアト、美咲に 「自己紹介できる?」 と聞いた。 「ハイ」 彼女は返事し 「御陵美咲です。大阪から来ました。 よろしくお願いします」 と、ペコリと頭を下げると、シーンとしていた生徒達は、ザワ付き始めた。
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