1人が本棚に入れています
本棚に追加
先生は今度は美咲に
「御陵さんも転んだ時、どうして先生に言ってくれなかったのかなぁ」
と言うと
「スイマセン」
美咲は頭を下げた。
「何かあったら、相談や報告してね。
その時言いずらければ、アトで職員室来て
耳打ちしてくれてもイイからネ」
「ハイ判りました」
ホントーに彼女判ってるのかなーと言う風に先生は首を左右に振った。
「もうイイわよ。三山君は保健室で見て貰って、御陵さんは教室に戻りなさい」
「別にボクは大丈夫です」
翔は赤く腫れた顔を上げた。
「ダメ。君は保健室行きなさい」
先生が少し、キツめに言うと
「はーい」
と、翔は暗く返事した。
2人、職員室の出入り口で頭を下げたアト、
廊下を翔が少し前を歩いた。
「オマエさ」
後ろの美咲が声をかけた。
「なんだよ。まだなんか文句あんのかよ。
コッチの方が被害、大きいんだからな」
振り向くことなく歩きながら翔は、ぶっきらぼうに言った。
「偉いな〜思てな。正直に話したやんか」
そう美咲は少し微笑んだ。
「嘘ついてどうなる」
「ごまかすと思てた」
「するか、そんなこと」
「ちょっとは見直したわ、オマエのこと」
「別に見直さなくてもイイし」
翔は後ろを振り返ることは無かったが、
T字路までくると、
「オレ、保健室寄ってくから、コッチ。
オマエ、教室だからアッチ」
と翔は右側を指差した。そして
「ちゃんと1人で教室まで帰れるよな」
と言った。
「当たり前じゃ」
美咲は弾かれたように突っ込んだ。
教室へ戻り、自分の席につくと、すぐさまタカコが
「大丈夫?」
と、心配そうな顔を向けた。
「あー、ウチは大丈夫や。ダメージは相手の方が大きいやろなー。顔、殴って腫れとったからな」
最初のコメントを投稿しよう!