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卓治はその日、会社で休憩中、北山雪子に、土日のこと全て、美咲を預かり、これから面倒を見て行くことを話した。
雪子は
「そうなんですか…酷い親ですね」
と、ためらいがちに、まず美咲の両親を非難し
「その京都のオバサンて人も無責任だと思います」
「うん、オレもそう思うけど、叔母さんトコは仕方ないよ。住まいが、ただでさえ狭い団地だもん。それに取り敢えずは、かけずり回って親戚連中のトコには話しは持ってったらしいし。でもドコも事情があるからね」
「ですよね…」
「美咲本人には罪は無い訳だし、引き取ろうと思ったんだけど、ただ、以外と、あっけらかんとした子でね。
辛さを見せないようにしてるのかは判らないけど」
「ホントーはツライでしょうね。
両親に見捨てられ、見知らぬ土地で暮らして行くのだから」
「元気で明るくて前向きな子だよ」
「そうなんだ。私も会ってみたいな」
卓治の話しに興味を寄せ、本気でそう思った。
「イイよ。美咲にも話しとく。
1度、飯食いにでも行こうか」
人懐こい笑顔で、フレンドリー卓治は言った。
6時半。
卓治が帰宅すると
「丁度良かった。今からご飯作ろ思ててん。卓ちゃん、先風呂入るか?沸かしてあんで」
美咲は主婦のように出迎えた。
「え?あ、ああ」
卓治は、ちょっと戸惑いながらも、苦笑いをし、着替えだした。
「ガッコーどうだった?」
食卓で美咲と面と向かって、彼女の作った酢豚をほうばりながら、卓治が訊ねた。
やはり初日だけに心配もあった。
「うん、問題ないわ。おもろそうなガッコーやわ」
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