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その後の美咲の学校生活に、特に問題は
置きなかった。
美咲はクラスに溶け込み、何人かと仲良くなった。
翔達も、もう手出しはして来なかった。
美咲が転校して2週間後、家庭訪問で、午後4時、山ノ口南先生は卓治を訪ねた。
テーブルを囲み、あいさつをかわすと、先生はすかさず
「どーですか?家での美咲さんの様子は」
と聞いた。
「えー。家事とかよくやってくれてますよ。炊事洗濯、晩御飯もボクが帰って来ると、出来てますし」卓治が答えた。
「へぇー、家のコト、やってるんだねー」
先生は美咲に一瞬、ちょっとそう言う風には見えないんだけど的な目をむけたが、しかし、次に尊敬の眼差しになった。
「大阪んトキもボチボチやってましたから」
美咲は、ドヤ顔を見せることなく、サラッと答えた。
「学校ではどうなんでしょうか」
逆に卓治が質問した。
「性格なんでしょうか。みんなともすぐ打ち解けて、友達も出来たようです」
「そうですか」
卓治は少し、ホッとした。
美咲は学校のコトをよく話しはしていたが、やはり心配はあった。
「ただ、1度、クラスの男子とケンカしたのは、ちょっと、いただけなかったなかーっと……しかも初日ですからね」
南が言うと
「え?ケンカ?」
卓治は目をバチバチさせ、驚いた声を上げた。
「知らなかったですか?」
南はソロソロと言い、美咲に
「アノこと、卓治さんには言ってないの?」
と、微かにしかめっ面をした。
「ハイ、言ってません」
さすがの彼女も、初日のケンカのコトは卓治には言えなかった。
そこで南は、三山翔とのいざこざの経緯を卓治に説明した。
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