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「そうでしたか…そんなことが…それは申し訳無いです」
卓治は保護者として、頭を下げた。
「元はと言えば、その男の子が悪い訳なんで、彼女を責めないであげて下さい。
彼女は彼女なりに反省していると思うので」
と、南は付け加えた。
「判りました。それは大丈夫です」
困ったヤツだ的に眉をひそめ、卓治は、縮こまっている美咲に目を向けた。
その後、卓治と南の会話はイイ感じで弾んだ。
と言ってもほとんどは学校のことであったが、雑談していると美咲が突然
「あの〜、スイマセン。トイレ行ってきます」
と、立ち上がった。
「オイオイ、なんで今?先生来る前に済ませとかないと」
卓治は、なんだよと言うように顔を歪ませた。
美咲は
「今、急に、差し込みが襲って来てん。アカン、お腹痛い」
と、腹を押さえた。
「大丈夫?早くトイレ行ってらっしゃい。待ってるから」
先生は心配そうにそう言った。
「ハイ。もしかするとトイレ、めっちゃ長いかもしれないけど、先生、ウチのことは気にしないで、ゆっくりしてって下さい」
と美咲はお腹を押さえ
「あー、イタイタ。おウンチだわ」
とか言いながら、リビングから出ていった。
(ウンチに、お、付けるヤツいないだろ)
と、卓治は心で突っ込み
「なんだよもう〜、アイツ」
しょーがねーなと言う表情。
「大丈夫かしら」
と心配の南。
しかし美咲はリビングから出ると、トイレの戸を開け閉めしただけで、中には入らず、そ〜っと抜き足差し足でリビングの扉の隙間から、息を殺して2人の様子を窺った。
(頑張れ卓ちゃん。ウチの話しなんぞ、ほっといてエエから、プライベートトークするんやで)
と思いながら。
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