0人が本棚に入れています
本棚に追加
/143ページ
2
独り者になってから3カ月後。
土曜日の朝。
ある人物が卓治を訪ねて来た。
京都住みの西川里子(56歳)と言う女性は、卓治の父親の弟の妻、つまり叔母だった。
「どうしたの?一体」
と卓治が聞くと
「ここは空港から近いからエエなぁ〜。来やすいわ〜」
のアト
「それはそうと卓ちゃん、離婚したんやて?」
と突然、そう来たので面食らったが、卓治は離婚のことは九州の両親には伝えてあるので、そこから仕入れた情報なのだろう。
「エエ、別れて3ヶ月になりますよ」
「あ、そう。ホナ今は1人なんや」
「そーです」
「誰かエエ人でもおんの?」
里子の目はニヤッと意味深な輝きを見せた。
「イエイエ、そんな人居ませんよ。多分、このまま1人ですよ」
「そうなんや〜」
里子はまたイヤラしい薄笑いを浮かべた。
(何をしたいんだこの人)
と思っていた卓治に里子は言いにくそうに
「あのな、卓ちゃんは、大阪の御陵悟ちゃんトコの家族は知ってるわなぁ」
「ええ、3回くらい会ったかな?
確か、アソコ、娘さん1人居ましたよね。
まだ、ちーちゃかったけど」
御陵家というのは、やはり卓治の父親の方の親戚であった。
卓治が桐子と大阪に行って、最後に会ったのは6年前で、美咲という、幼稚園に通っている女の子がいたのを覚えている。
「そうそう、美咲ちゃんネ。
今、小学5年生なんやわ。それでな、アソコも離婚しはってん」
「え、そうなの?」
全くそんな兆候は見られなかったが、と言っても6年前のことではあるが。
最初のコメントを投稿しよう!