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独り者になってから3カ月後。 土曜日の朝。 ある人物が卓治を訪ねて来た。 京都住みの西川里子(56歳)と言う女性は、卓治の父親の弟の妻、つまり叔母だった。 「どうしたの?一体」 と卓治が聞くと 「ここは空港から近いからエエなぁ〜。来やすいわ〜」 のアト 「それはそうと卓ちゃん、離婚したんやて?」 と突然、そう来たので面食らったが、卓治は離婚のことは九州の両親には伝えてあるので、そこから仕入れた情報なのだろう。 「エエ、別れて3ヶ月になりますよ」 「あ、そう。ホナ今は1人なんや」 「そーです」 「誰かエエ人でもおんの?」 里子の目はニヤッと意味深な輝きを見せた。 「イエイエ、そんな人居ませんよ。多分、このまま1人ですよ」 「そうなんや〜」 里子はまたイヤラしい薄笑いを浮かべた。 (何をしたいんだこの人) と思っていた卓治に里子は言いにくそうに 「あのな、卓ちゃんは、大阪の御陵悟ちゃんトコの家族は知ってるわなぁ」 「ええ、3回くらい会ったかな? 確か、アソコ、娘さん1人居ましたよね。 まだ、ちーちゃかったけど」 御陵家というのは、やはり卓治の父親の方の親戚であった。 卓治が桐子と大阪に行って、最後に会ったのは6年前で、美咲という、幼稚園に通っている女の子がいたのを覚えている。 「そうそう、美咲ちゃんネ。 今、小学5年生なんやわ。それでな、アソコも離婚しはってん」 「え、そうなの?」 全くそんな兆候は見られなかったが、と言っても6年前のことではあるが。
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