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「一応、数軒はあたってみたけどな、みんな色々事情があってアカンねん。 そやから卓ちゃんにお願いしとんねん」 「そやからって言われても…オレだって困るよ。 小学生預かって、どうやって生活したら良いかも判らないし、それに問題児なんだよね。 そんな子供オレ、扱えないよ」 「それなら問題ないわ。 占い師に見て貰ったんやけど、卓ちゃんと美咲の相性、バッチリやて」 「なんで占い? そんな口からデマカセを」 「ホンマや。そやから生活の面は大丈夫や思う」 「じゃ手続きは?オレ、どうしたらイイの」 「それも心配せんでエエ。 向こうのほうで出来るコトはやってきてん。住所変更とかな」 「住所って?」 「ここのや」 「えーっ!マジかよ」 卓治は弾かれたような声を上げた。 もうそこまでやって来ているのか。 「可哀そうや思えへん?美咲のコト」 「そりゃ思うよ。両親に見捨てられて行くトコも無いし」 「そやろ?」 「でもなんでオレんトコなの? 他にもあるんじゃない?あ、サイタマのオバサントコとか」 「アソコはアカンねん」 「どうしてサ」 「イロイロあってな、今、絶縁状態やねん。私ももう行きたーないし」 「そんなコト言ってる場合じゃないでしょう」 「アカンアカン、美咲の面倒見れるんは、卓ちゃんしかおれへんし」 「おれへんしって…ホント…困るし…オレには出来ない…」 昔からちょっと身勝手なトコがあるオバサンと言う印象はあったが。 「ホンマに2人の相性バッチリやて、占い師さんも言うててんて」 「それはもういいよ。でもなぁ…」 ずっと当惑した顔付きの卓治は言葉をつぐんだ。 「なんとか、この通りや」 里子も ここぞとばかりに、今日1番の申し訳無さそうな表情で頭を35度下げた。
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