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くにのはじまり
昔々のお話です。
まだ世界に国がなかった頃、争いと不毛に苦しむ兄妹の元に一柱の神が降り立ちました。
優しく誠実で信心深い兄妹は少ない実りの中、己の糧を割いて、その神をそれはそれはもてなしました。
そのもてなしをたいそう喜んだ神は護国と豊穣の加護を与え、自分をもてなした兄妹へこう告げたのです。
「国を作りなさい。
善き国となれば争いと不毛は減ることだろう。
善き国は善き人民から。
そなたらのように善き心の者がいる限り、神の加護は衰えまい。
毎年、私の御使いを遣わせるので、その真心をもってもてなしてほしい。
神へのもてなしは豊穣となり、役目を果たす人民の誠意は護国として、国へと還るだろう」
そうして国が生まれ、神をもてなした兄は人民をまとめ、人々を導く凛々しき王になりました。
妹の元には毎年、主神の御使いが代わる代わるに訪れるようになります。
その主神の御使いはいつしか歳神と呼ばれるようになり、兄妹の死後、歳神へのご奉仕は主神の選びし暦姫の役目として今尚、続いているのです――
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