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「…そんな顔も…格好も…俺以外に見せないで。」
──そんなの当たり前なのに。
こんな姿、郁哉にしか見せられない。
「…樹理亜さんは…俺のものだからね?」
「…んっ…、」
「意地悪して…ごめん…。」
そう言った彼は、あたしの腰を引き寄せる。
「…あっ…ん……、」
最後まであたしにさせるつもりだとばかり思っていたから、油断していた。
「…いく、や…」
「…なに?」
「…今だけ…、」
「うん。」
「…さん付けしないで…樹理亜って呼んで…」
「…いいよ。そんなの、いくらでも。」
直後。「樹理亜…好きだよ」と耳元で彼の甘い声が聞こえた。
「……っ……、」
ただ呼び捨てで名前を呼ばれ「好きだ」と言われただけなのに、こんなにも胸が熱くなって、感じたのは初めてだった。
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