12月⑪

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「…そんな顔も…格好も…俺以外に見せないで。」 ──そんなの当たり前なのに。 こんな姿、郁哉にしか見せられない。 「…樹理亜さんは…俺のものだからね?」 「…んっ…、」 「意地悪して…ごめん…。」 そう言った彼は、あたしの腰を引き寄せる。 「…あっ…ん……、」 最後まであたしにさせるつもりだとばかり思っていたから、油断していた。 「…いく、や…」 「…なに?」 「…今だけ…、」 「うん。」 「…さん付けしないで…樹理亜って呼んで…」 「…いいよ。そんなの、いくらでも。」 直後。「樹理亜…好きだよ」と耳元で彼の甘い声が聞こえた。 「……っ……、」 ただ呼び捨てで名前を呼ばれ「好きだ」と言われただけなのに、こんなにも胸が熱くなって、感じたのは初めてだった。
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