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10月②
末永郁哉が再びやって来たのは、それからから3日後の夕方だった。
空いている沙季さんのカウンターには行かず、わざわざ先の人の対応が終わるのを待ってまであたしのカウンターにやって来た彼を見て、今すぐここから立ち去りたい気分になった。
だけど、仕事に私情を挟むわけにもいかず、邪険に扱うわけにもいかず。
「金沢さんって、樹理亜って名前なんだ?」
自分の番になると、彼は人懐こい笑顔を向けながら提出書類を広げた。
予想通り掲示板のスタッフ紹介コーナーを見たらしく、あたしの名前は既にバレバレ。
「…書類お預りします。」
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