10月①

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紗季さんの綺麗な横顔をじっと見つめれば、紗季さんもあたしの方に顔を向ける。 「さっきの高校生くん、金沢の名前訊いてたけどさ、いずれ彼に金沢の名前バレるよ。」 「え…?」 唐突な紗季さんの発言に自然と眉間に皺が寄る。 「だって、ほらあそこ。」 紗季さんの人差し指がどこかを差していて、あたしはその方向に目を向けた。 目に入ったのは、正面玄関の横にある掲示板。 その掲示板を見てハッとする。 「あそこにスタッフ紹介って、うちらの名前と顔写真貼ってあるし。」 紗季さんが丁寧に説明してくれたけれど、あの掲示板を見付けた時点でその説明は不要だった。 「彼があれに気付くのは、時間の問題ね。」 チラッとあたしの方を見てからクスッと笑い、再び手を動かし始めた紗季さん。
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