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あたしはその掲示板を見つめながら過去の記憶を辿る。
辿った記憶の中に、ここに入社してすぐの頃にスタッフ紹介用の写真を撮影した出来事が確かに存在していた。
個人情報保護が確立しているこのご時世に、思い切り情報振り撒いているこの職場はいかがなものか。
これじゃあ、紗季さんの言う通り、末永郁哉があたしの名前を知るのも時間の問題だ。
ここに末永郁哉が通うとなれば、いつかはあの掲示板を見付けるはず。
そうなれば、確実にあたしの名前は知られることになる。
名前が知れたらその後どうなるんだろう。
「……、」
なんとなく面倒なことになりそうな予感がした。
けれど、今からそんなこと心配したってしょうがない。
また今日みたいに流せばいいのだから、気にするのはやめよう。
この時はそう思った。
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