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リーザの発見と竜の子守歌編 7 髭を全部抜かれた竜は、若く見えた
カンドル先生の屋敷着く頃には、リーザも回復していた。
先生は竜を客室のベッドに寝せて、ポケットサイズから人サイズに戻した。
それからカンドル先生は、人型の竜の髭を、毛抜で全部抜いてしまった。
竜のひげは全部で12本あった。
それをせんぶ抜いてしまったのだ。
すると竜は、おじいさんの姿から、20歳を少し超えたぐらいの、若い男の人型に変わった。
白髪も黒くなり。シワもなくなった。
肌は透き通る様に白く、絹の様に滑らかだ。
それを見ていたリーザが言う。
「若くなりました」
先生が頷く。
「人型になった竜の見た目は、髭の立派さで決まるのさ。髭がなくなって、若造になったんだ。竜は人型になった時、威厳のある爺さんの姿になりたがるのさ。だから、竜が目覚めたら、髭が全部なくて、さぞかし怒るだろうね」
リーザが不思議に思う。
「でも髭を貰うことは、同意してますよね?」
先生がウキウキしながら言う。
「髭をくれるとは言ったが……。竜は、きっと1本か、2本だと思っただろうよ。でも私は何本もらうかまでは言ってないんだ。竜が寝ている間に、好きなだけ貰った者勝ちさ」
リーザが心配そうに聞いた。
「そんなぁ……。全部髭を抜いてしまって、大丈夫なんですか?」
先生は、そんな事は、どうでもいいようだった。
髭に夢中になっている。
「竜の仙力に、髭のあるなしは関係ないから、平気だよ。しかし、いい髭が手に入った。なかなか手に入らないんだ」
「髭を何に使うんですか?」
先生はホクホク顔をした。
「魔法のバイオリンの弦や、魔法の弓矢の弦にするんだよ。リーザが私の薬湯を飲めませてやりな。すぐ起きるだろうよ。私の魔力入りだからねぇ。時間竜なんかに、いつまでもうちにいられたら、たまったもんじゃない。早く追い出さないと……」
先生は部屋から出て行ってしまう。
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