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🔴リーザの発見と竜の子守歌編 その1 お見舞いに行く
カンドル先生が、朝早くに言った。
「見舞いに行くよ。準備しな」
リーザが聞く。
「何方のお見舞いに行くんですか?」
「私の先生さ」
「先生に、先生がいるんですか?」
「そりゃいるさ。私にだって先生くらいはいるんだ」
リーザは固まる。
「はぁ」
「なんだい、その反応は?」
「いえ、別に……。ただ想像がつかないだけです」
「なんの?」
「先生が、先生に色々習っているところですよ」
「うーん。そうかね」
リーザは強く言う。
「そうですよ」
「とはいえ、見舞いに行かなきゃならない。リーザ、昨日余分に作るように言っておいた、チェリーパイとミートパイはあるかい?」
「ええ、ありますよ」
「じゃ、それも持って行くから、バスケットに入れておくれ。私は魂の薬と、乾燥ハーブを用意するよ。後ワインもね」
リーザが頷く。
こうして、リーザはカンドル先生と、先生の先生に見舞いへ行くことになった。
すると、リーザの使役している、宝石の妖精アダマスが言う。
「俺も行くぜ」
リーザが言う。
「お家で留守番をしていてもいいのよ」
アダマスが言う。
「この屋敷にずっといると暇なんだ。俺も行きたい。それにその先生にも会ってみたいんだ」
リーザがカンドル先生に聞いた。
「アダマス連れて行って良いですか?」
先生が言う。
「私の先生は病気なんだよ。だからアダマスは大人しくしなきゃならない。大丈夫かい?」
アダマスは不敵に笑って言う。
「おう、大丈夫だ」
カンドル先生が言う。
「それと、私の先生のことは、大先生と呼んでくれ。それくらい偉大な魔女なんだ。くれぐれも失礼のないようにしてくれよ」
神妙な顔で、リーザとアダマスが頷いた。
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