魂のおくすり編 3 リーザの初めての飛行

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魂のおくすり編 3 リーザの初めての飛行

 リーザは、祖母と一緒に、空を飛ぶ。  リーザの足の下には広大な森が見えた。  リーザは、産まれて初めて、森を上から見た。  リーザが言う。  「森を上から見ると、こんななんですね」  祖母が尋ねる。  「空を飛ぶのは、初めてかい?」  「ええ」  忌々しそうな顔で祖母が言う。  「ライザは、リーザをほうきに乗る事さえさせなかったんだね」  ライザとは、リーザの母の名だ。    リーザが祖母に聞く。  「私も飛べるようになりますか?」  祖母が自信を持って答えた。  「なるさ。リーザには魔法使いの血が流れている。でもその指輪をつけなきゃ駄目だろうよ」    リーザが指輪を見た。  「これを付けなきゃ駄目なんですか?」  リーザは、母親との約束を思い出す。  ”けして指輪ははめないで”  ”一度はめたら、後戻りはできないの”    祖母が言う。  「駄目とは言わないが……。指輪を付けたほうが、楽に飛べるのは間違いないね。さぁ着いたよ」  リーザが驚く。  「大きな屋敷と、広い畑ですね」  祖母の家周りだけ、木が切らていて、森が開けていた。  祖母の家は、広い畑の中に建っていた。  大きな屋敷の他にも、複数の建物が建っている。  畑には小さな水路が張り巡らされていた。  緑の薬草や野菜、低木が所狭しと植えられている。  祖母が指を差して言う。  「あれが牧場で、あれがサイロ。そっちがワイン蔵とチーズ蔵だよ。カンドル邸では沢山の者たちが働いている」  リーザは、祖母の他にも、魔法使いが暮らしているのかと思い、聞いた。  「働いている方たちも、魔法使いですか?」  祖母が首を横に振った。  「魔法使いは私だけさ。いるのは、私の使役している妖精たち。使役している妖精が、使役している妖精だよ。後は、オルガ人たちだ」  「へぇ……、そうなんですね」  リーザには、使役妖精と言う存在が、いまひとつ分からなかった。  オルガ人は、知っているが、会ったことがなかった。  
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