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リーザの発見と竜の子守歌編 2 龍に見つかリ、アダマス大ピンチ
ほうきに乗り空を飛ぶ先生とリーザ、そして自分の羽で空を飛ぶアダマスは、大先生の屋敷に向かって、快調に飛ばしていた。
アダマスが言う。
「大先生は、先生より、更に森の奥深い場所に住んでいるんだな」
先生が説明した。
「大先生は、既に魔法使いの第一線を退かれたんだ。だが、各国から依頼要請が後を絶たない。それが嫌で、大先生は、森の奥深くに住んでいるんだよ」
だいぶ森の奥に進み、後3キロもしたら、大先生の屋敷に着くという時だった。
アダマスが険しい表情で言った。
「やばい。時間竜だ」
大きな竜が、アダマスたちの後方に見えたのだ。
リーザがアダマスの見た方角を確認した。
「大きな竜ね」
のんきに竜を見るリーザに、アダマスが言う。
「リーザ、俺はあいつに食われちゃう。やばいよ」
先生がリーザに教えた。
「竜の好物は、宝石なんだ。そして宝石の妖精も大好きなんだよ」
リーザがびっくりして言う。
「宝石のような硬いものが、竜は好きなんですか?」
するとアダマスが言う。
「そうなんだ。だから竜は、俺たち宝石の妖精の天敵なんだ」
先生が考えながら言う。
「この時期、このあたりに時間竜が現れるなんて珍しいね。たぶん専属の竜使いがいないだろう」
リーザが聞く。
「つまり野生の竜、と言う事ですか?」
「野生とは少し違うね。だって竜使いが竜を飼っているんじゃないんだ。竜が、自分専属の竜使いと、一緒にいるんだからね」
そう言われても、リーザにはよく分からない。
チンプンカンプンだ。
先生が言う。
「わからないなら、無理に理解する必要もないさ。そのうち分かるよ」
先生があたりを見回した。
「しかし逃げ場がないね。アダマス、私達と離れてくれ。アンタといると、わたしたちまでトバッチリを受けかねない」
アダマスが懇願する。
「嫌だよ。助けてくれよ」
リーザが提案した。
「私の影に隠れたら良いんじゃない?」
先生がびっくりしてそれを止めた。
「馬鹿だね。そんな事をしたら、竜はリーザの影ごとアダマスを食ってしまう。そしたらリーザは永遠に影を失うよ」
リーザがびっくりして言う。
「それは困るわ」
リーザ達が相談しているうちに、どんどん竜が、リーザたちに追いついてくる。
竜が叫ぶ。
「待て――――――。私にその宝石の妖精を食わせろ。私は目覚めたばかりで、腹ペコなんだ!」
もちろん、リーザたちは止まらない。
竜がまた叫ぶ。
「おい。私に食われろ!!!!」
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