20人が本棚に入れています
本棚に追加
リーザの発見と竜の子守歌編 3 大地を噛み締め、龍への子守唄
アダマスが提案した。
「そうだ、リーザ。龍を眠らせてくれ!」
「どうやって」
「魔歌に竜の子守歌があるだろう? あれは竜眠らせる為のものだからな」
リーザが言う。
「ダメよ」
「まさか、竜の子守歌を知らないのか?」
「知っているし、謡えるわ。でも駄目なの」
アダマスは理由を聞いた。
「何で?」
「私、最近発見したのよ」
「何を?」
「地面に足をつけないと、魔歌は謡えないの」
アダマスは、その情報は初耳だった。
「え! そうだったの? 先生は知っていたか?」
「初めて聞く話しだよ。それは本当かい?」
「本当よ」
アダマスが先生に懇願した。
「じゃ先生が竜をなんとかしてくれよ。先生は、有名な魔法使いだろう? 大魔法使いは、時間竜を退治出来るんだろう?」
先生がキレる。
「馬鹿言っているんじゃないよ。竜を何だと思っているんだい。保護獣だよ。あれを退治したら、私は牢屋にぶちこまれってしまうよ」
「じゃどうするんだよ。いつまでも竜から逃げていられないぞ!」
先生がリーザに聞く。
「地面があれば良いんだろう?」
リーザが頷く。
先生が、進行方向の雲に向かって魔方陣を作り、魔法陣を飛ばした。
魔法陣は小型の雲に衝突した。
雲がもくもくと姿を変える。
リーザが言う。
「先生、雲が地面になりました」
「そうだよ。雲が、空に浮かぶ島になったんだ」
アダマスが目を丸くして言う。
「そんな事ができるのか? だからたまに空を移動する島があったのか……。魔法使いが作っていたのか」
先生は自慢げだ。
「だからって、どの魔法使いも、雲を島に変えられる訳じゃないさ」
「誰なら変えられるのですか?」
「私のような、大魔法使いだけだよ」
リーザは感心しきりだ。
「先生はやっぱりすごいんですね」
先生が自慢した。
「私は偉大な魔法使いなのさ」
雲から島になった小さな浮島が、どんどんリーザたちに近づいて来た。
先生が言う。
「さぁ、もうすぐ島に着く。浮島の側に付いたら、飛び乗るよ。島に飛び乗ったら、リーザは竜の子守歌を謡うんだ」
すぐに浮島の側に到達し、リーザたちは浮島に飛び乗る。
そして、リーザは、島の上で足を踏ん張って、大地のエネルギーを体に吸い込んだ。
リーザは、エネルギーを、体いっぱいに、吸い込むだけ吸い込んで。
それから、今度は放出を始める。
リーザは、大地のエネルギーを、天のエネルギーに変換しながら、魔歌にのせて放出する。
すると、リーザたちを追いついて、浮島側までやって来た竜が言う。
「魔歌を謡うのは止めてれ。まさか魔歌を謡える者が、この付近にいるなんて思ってもいなかった」
最初のコメントを投稿しよう!