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リーザの発見と竜の子守歌編 9 竜の世話係りと三枚の鱗
リーザが、竜の面倒をする約束をすると、竜が宣言した。
「これから、リーザと私で、竜の契りをする」
竜はリーザの耳たぶの後ろに、竜が顔を近づけた。
リーザの首に竜の唇が押し当てられた。
竜の唇を首に押し当てられて、竜の意識が、リーザの意識に入って来た。
リーザの顔が歪む。
「痛い……。熱い……」
竜がリーザから顔を離す。
リーザが耳たぶの後ろを触る。
「その内、竜の鱗が三枚、耳たぶの後ろに生えてくる」
リーザが頷く。
「竜さんの意識が私に傾れ込んできたから知っています。そして、竜さんの正式な名は……」
竜が頷く。
「決して誰にも私の本当の名を教えてはならない」
リーザが言う。
「わかったわ。これからは、仮に名を呼べばいいのね?」
竜が名乗る。
「ああ、私の仮の名は、コクリョク」
こうしてリーザと竜の契りは結ばれた。
アダマスが言う。
「リーザ、俺のせいでごめん……」
コクリョクがアダマスに言う。
「私はアダマスのお陰で、リーザを得たぞ」
アダマスが悔しそうに言う。
「俺はリーザのモノだけど、リーザは誰のモノでもないよ!」
コクリョクが“フン”と言った。
そして次の日、先生はその話を聞いて言った。
「……、リーザ、またあんたは、厄介な者を私の屋敷に増やしたのかい……。よりによって、時間竜なんか……」
こうして、先生の家に、竜が棲み着くことになるのだが……。
カンドル先生が、すんなり竜を受け入れる訳がなかった。
――――リーザの発見と竜の子守唄編 おわり――――次編 コクリョクの昔話 月夜の遭遇編――――
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