魂のおくすり編 4 祖母は先生 孫は弟子となる

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魂のおくすり編 4 祖母は先生 孫は弟子となる

 祖母がほうきを、下方に傾けた。  リーザたちは地面に向かって降りていく。  降りた先は、祖母の家の玄関前だった。      リーザが、あたり見回して言う。  「全部お祖母様の持ち物なんですか?」  祖母は、リーザの問いに答えず、違うことを言う。  「お祖母様と言う呼び方は、私の好みじゃないな」  リーザが問う。  「じゃ、なんと呼べば良いんですか?」    祖母が答える。  「カンドル先生と呼んでくれ」  リーザが繰り返す。  「カンドル先生……」  カンドル先生がほほ笑む。  「はっきりさせておく。私はあんたの祖母になる気はないんだ。リーザは、私の弟子として扱うからね。今後リーザは、魔女見習いになるんだ」  リーザが呆然として言う。  「私が、魔女見習い……」    カンドル先生が繰り返す。  「だから先生と呼んでくれ。カンドル先生だ」   リーザは頷く。  カンドル先生が言う。  「リーザも良い日に来てくれた。なんせ今日は13日の金曜日だからね。しかも満月だ。満月が一番空高く昇ったら、私達は魂狩りをしなきゃならない」  リーザが驚いて聞く。  「魂? 魂ってなんですか?」  「決まっているだろう?人や獣の魂だよ。あれはいい薬になるんだよ。13日の金曜日の夜、しかも満月だと、テーム川にたくさんの魂が集まるんだ」  「それを捕まえるんですか?」  カンドル先生が目を細めて言う。  「そうだよ」    リーザは恐ろしくなって顔が青くなる。  カンドル先生は、震えるリーザを見て笑う。  「リーザも行くんだよ。青くなっている場合じゃない。これからこの家で暮らしたいなら、働くしか無いんだ」  リーザが頷く。    カンドル先生は話を続けた。  「あと、あそこに立て掛けてあるほうきだが……。リーザが使いな。暇を見て乗る練習をするんね。指輪をはめないと、乗るのは難しいかもしれないが、乗れないわけじゃない。だから練習することだ」    リーザは、ほうきを見て、”ハイ”と言った。
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