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魂のおくすり編 5 魂狩は、13日の金曜日、満月の夜が、最高
夜中になると、リーザとカンドル先生は、昼間用意した大量の薬瓶を、バスケット4つに詰め込んで、テーム川に向かった。
大量の薬瓶入りバスケットをほうきに、4個もぶら下げ、リーザまで乗せたものだから、カンドル先生のほうきは進みが悪い。
先生が独り言を吐く。
「流石に重すぎる」
ほうきは、ヨロヨロと進む。
カンドル先生がリーザに嫌味を言う。
「リーザも、一人でほうきに、乗れるようになって、欲しいもんだよ」
リーザが謝った。
「すいません。努力します」
カンドル先生は腹ただしそうに言う。
「そうあって欲しいね」
カンドル先生とリーザは、テーム川の川辺に降りた。
テーム川には、たくさんの、大小様々な魂が集まってきていた。
そしてそれを食いに来た、魔獣や魔魚などが、あちこちにうろつきまわっていた。
リーザは、魔獣たちに、恐怖を感じた。
カンドル先生が、怯えるリーザに言う。
「安心しな。魔獣に食われないために、私達は出かけに薬を飲んできたんだ。あの薬を飲むと、魔獣たちは、私達を臭くて食べられないからね」
カンドル先生は、ほうきから降ろしたバスケットを、横1列に並べた。
それからカンドル先生は、バスケットの中の薬瓶を鷲掴みにして、右のポケットに詰め込んだ。
「いいかい? 今から手本を見せる。よく見ておくんだ」
カンドル先生は、蓋を開けた薬瓶を右手、蓋は左手に握りながら、体を前傾させた。
カンドル先生は、勢いよく川に向かって、走って行く。
カンドル先生の勢いは川に入っても衰えない。
カンドル先生の通った後に、水しぶきが立つ。
カンドル先生は、水しぶきと共に、狙った魂に向かって突進する。
狙いが定まると、彷徨う魂めがけて、カンドル先生は、薬瓶を振り下ろす。
振り下ろされた薬瓶の中に、魂が入る。
魂が入ったら、左手に握られた蓋を、素早く瓶に差し込む。
カンドル先生は、捕獲した魂が入った瓶を、左の空っぽのポケットに突っ込む。
空いた右手で、右のポケットに入っていた、空っぽの瓶を手に持つ。
そしてまた新たな魂を捕まえに行く。
カンドル先生が、一連の動作を終えて、リーザに叫んだ。
「リーザもやってみな」
リーザは頷いた。
リーザも、右ポケットに入るだけの薬瓶を入れた。
リーザも前傾姿勢になる。
川に向かって全速で走った。
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