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母だって根本的な解決になるわけではないと分かっていたはずだ。
「ごめんなさい。今は行かせてください」
母に深々と頭を下げ、家を出て行った。母は姉が去って行った方角を呆然と見ていた。
「お母さん、どうしよう」
母は悔しそうに歯を食いしばっていた。
「大丈夫、お姉ちゃんはすぐに帰って来るから」
母に具体的な策があったのか、それともただの願望だったのかは分からない。でも、母の言う通り、姉が出て行った三日後に警察官と共に戻って来た。占い師の元に夫の暴力から逃げていた妻を取り返しに行った夫が暴れて、庭のバラをチェーンソーで切り倒すという事件が起きたのだ。その時、占い師の家にいた姉と他の未成年の女性達が警察官によって家に戻されたのだ。
「分かったでしょう? 先生はただ、困っているひとを放っておけないだけなの」
互いに目配せし合っていて核心をつこうとしない両親に私は苛立った。
「じゃあ、お姉ちゃんは占い師に洗脳されてたわけじゃないって言うの?」
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