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今まで、姉の突拍子のない言動に振り回されている家族のことはどうでもいいのかと悲しむ暇もなかった。
「とにかく行こう」
両親と共に占い師の家へ駆けつけたが、騒ぎがあったせいか、すでにどこかへ引越した後だった。同じように家族を失った人達が呆然と庭を見つめていた。折られたバラは痛々しく、悲鳴をあげているようだった。
「これ、『詐欺師、出て行け』だって」
至る所に占い師を中傷したビラが貼られてあった。
「お姉ちゃん、どこ行っちゃったの」
両親と私はその足で捜索願いを出したが、一向に行方は分からず七年経ってしまった。
✳︎✳︎✳︎
私と賢人は姉が働くお化け屋敷がある遊園地にやって来た。
「こんな小さな遊園地だったのね」
「そりゃ、子供の時の記憶とは違うだろ?」
賢人はペットボトルのお茶を飲み干してゴミ箱に捨てた。秋とはいえ、まだまだ日差しは強い。
「あそこにお姉ちゃんいるんだ」
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