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お化け屋敷のスタッフに事情を話すと、スタッフルームに案内してくれた。賢人は積もる話もあるだろうとカフェに行ってしまって心細い。それなりの緊張感で待っていたのに、現れた姉は実にそっけなかった。
「久しぶりね、元気にしてた? 悪いけど、メイクしながらでいい?」
私の返事も聞かずに幽霊のメイクをする姉と鏡越しで目があった。
「久しぶりって、七年だよ! 失踪宣告するところだったんだよ!」
それを聞いて姉は笑い出した。
「笑い事じゃないよ、もう……」
「そんなに経つのかあ」
ひとしきり笑ってから、ぽつりと呟いた。
「今までどうしてたの?」
「先生や仲間の紹介でレストランで働いたり、先生の新しい事務所で事務をしたり、色々」
「今もあの人達と一緒にいるんだ」
姉がちらりと私を見た。
「サロンで出会った人達はなりたい自分を演じていた。その中にいれば、私も奇異な目で見られなかった」
「お姉ちゃん、ごめん」
「なんであんたが謝るのよ」
「お姉ちゃんのこと怖いと思ったし、やだなって」
「そんなこと知ってたよ。でも、それが私。だから私こそが主役だって言い続けてやる」
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