お化け屋敷のヒロイン

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 姉はシニカルな笑みを残し、するりと暗闇へ消えた。死装束からうっすらとクローブの匂いがした。姉は緊張をしているのかもしれない。だから、ここ一番の集中力を発揮するために、魔女の力を借りたのだろう。 「さて、帰るか」  ビリビリと空気を裂くような叫び声がした。姉が幽霊になって、カップルを怖がらせている。不思議と今までで一番、姉が好きだと思った。それはきっと、人間らしく泥くさく生きている姉だったからだ。 了
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