お化け屋敷のヒロイン

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「そうなのかしら」 「え?」 「毎週のようにスーツ姿で出かけているから、面接に行ってるんだと思うのよ。内定もらったって聞かないから、苦戦してるんだと思ってたんだけどショック受けてる様子もなくって。何か聞いてる?」 「ううん。何も」 「……そう」 「ねえ、お母さんは占い師のこと、気にならないの?」 「気になるわよ。でも、あの子は反対すればするほど反発してのめり込むでしょ」 「だからって、放っておいたらさ……良くない気がする」  母は深いため息をついた。 「今ね、美弥と同じようにお嬢さんが占い師の家に出入りしているっていうご家族の方と相談しているところなの」 「えっ、そうなの? 全然、知らなかった。どうにか出来るの?」 「その娘さんも大きな金銭トラブルもないし、ちゃんと自宅に帰って来るから、説得するのが難しいようよ。もどかしいわね。いっそのこと、美弥が家のお金に手を出したら……」 「お母さん」 「いやね、ごめんなさい。悪い方へ望むのはダメね。今のは無し。あんたこそ、進路のこと真面目に考えなさいよ」  タオルを手早く畳んで棚へしまった。その手は少し震えているように見えた。
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