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 結局のところ、セカラシはノブタにドコエモンを押し付けて、一体何がしたかったのだろう?  わざわざ未来からやってきて、僕は貴方の子孫だなどと放言し未来のロボットを贈る。なぜならば僕は運動も勉強もまったくダメで、その原因を辿るとどうやらノブタ、貴方に行き着きます。ジェイミィでなくシズエと結婚できれば、翻り未来が好転し、僕の遺伝子の質が高くなり運動勉強ばっちり高性能な僕に。ご先祖様も憧れの女の子と結婚出来て良い事ずくめ。あ、因みに相手が変わっても、未来にいる人間は必ず産まれるようにできていますのでどうぞご安心を…  うーん、やっぱり何度考えても、その条件ならノブタを別の子に変えるべきなのじゃないだろうか?  そもそもセカラシは一体なにが気に食わないのだろうか?たとえ中古だろうが、あれほどの便利道具をお小遣い程度の金銭でホイホイ購入できる未来。運動勉強が出来ない事がいったい何だというのだろう。自分自身が気に食わないのなら泉にでも飛び込んでキレイなセカラシになれば良いのに。  彼はイジメでも受けているのではと下衆な勘繰りをしてしまう。  何しろ先祖をすり替えたいなどという大事にポンコツの兄を寄越してくるのだ。そこはせめてドコミだろ、普通に考えて悪手である。  そんなもろもろ含めて、セカラシをみていると、運動勉強以前に性格に難があるように思えてならない。未来を変えても引き続きジェイミィの血縁だったら彼はどうしていたんだろう?まぁシズエの子供がとんでもない暴れん坊になっている事を考えれば、もしかしたら彼にとってはそっちの方が良いのかも知れない。穏やかな両親を持てば、彼の考えなしな部分にも変化が表れるだろう。  私の家庭は、きっと両親が変わらなかった未来の方である。父親はチンピラ、母親は風俗嬢。妹が産まれた直後に父親は出て行って行方も知れない。なんで私が産まれた時点でもう1人と思ったのか。どうにかなるなど全く思えない事から察するに、現実世界でも未来に生きている人間は必ず産まれるように、そう出来ているのだろう。死ぬタイミングは決まっているのかな?だとすると未来の人間は気楽なもんだ。いつまで生きるとも知れない我々現代人は、死ぬまではどうにか生計を立てねばならぬ。私が死んでも妹だけはどうにか生活できるよう苦慮する日々。  そう、全ては妹の為であり、妹は私の全てである。そんな、愛しい愛しい妹を害悪から守るため、『ミライのタマゴ』をとあるルートから入手した私は深夜、妹が寝ているのを見計らいガチガチに身を固めてうまいんだ棒をお願いしてみる。 もぅ………もぅ………  はじめてみるミライジンは、もやもやと輪郭のぼやけた、薄く発光する人型をしていた。エラく小さい、10センチ位か。なかなかカワイイじゃないか。 もぅ………もぅ………  ミライジンはゆらゆらと揺れながら、両手を腹部に当ててクリクリとこねくり回す。 もぅ………もぅぅぅぅぅ……  一体どうなってるのか、腹部が横に丸く拡がったかと思うと、センターからうまいんだ棒がぬぅと現れはじめた。両手で支えてモリモリと外に出てくる。 もぅ……  やがてカサリと音を立てて、うまいんだ棒はミライジンから離れて机の上に落ちた。 もぅ……もぅ………  続いてミライジンが両手を上げる。と、いつの間に奪ったのだろう?そこには既に十円玉が掲げられていて、 もぅ………  フッと、消えたその跡には元より小さなタマゴが2つ転がっていた。  私はタマゴから目を決して離さずに、財布を取り出して中身を確認する。念には念をいれて十万円入れておいたお財布からは、十円きっちり抜かれていた。驚くべき事に一万円札が崩されていて、お釣りも確りと小銭入れに入っていた。 「………………………………」  どっと汗が吹き出す。怖かった、怖かった。万事に於いて堅実を旨とする私からすれば結構な大冒険である。今後の対応について検討する為とはいえ、可能であれば使用は避けたいものである。  心臓に悪い、まだドキドキする。  ともあれ、コレでタマゴは2つに増えた。保険で一つキープ、あとひとつを使って検証だ。使用条件や代償などをしっかりと見極めたうえで、極力妹から遠ざけ、万が一にでも手にしてしまった時は全力で護らねばならない。  どうでもいいが少しだけお得。ミライジンを呼び出すのは非課税であるようだ。
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