幸福と承認

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「ええ! 本当は社長業よりも人形作ってるほうが性に合うんですがね。ああ、それでラングレイですが、人形馬鹿っていうんですかね、ほかのことは本当に不器用な人だったように記憶しています。それでいて、作風もこう言ってはなんだけど、個性が強すぎてね。でもあの滑稽な感じは、彼が探求していた人間性に関係があるのでしょうが。それで、あるとき装飾にヘマタイトを使うことを思いついた。あの時分は今みたいにヘマタイトにネガティブな印象なんてありませんでしたからね。万能薬みたいなもんで、シェリラリアの人はみんな持っていた。で、あの石っていうのは島の伝承とか、魔術みたいなもんが関係しているでしょう。それで、休暇をとってメイリン島へ取材に行ったんだ。ヘマタイト調達の目的もあったとは思うけれど」 「取材っていうのは、演目のですか?」
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