墓穴

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 もっとも、前回の墓荒らしの際は無縁仏の共同墓地であったから、大変だった。墓を掘ってみて、その骨たちが個々人ではなく数人をまとめた大きないくつかの骨壺に入っているのを見たときは、途方に暮れてしまった。  「あ、こっちの方が土が掘りやすいよ。ここに埋まっているんじゃないか」  「本当ね。よく見つけたわ」    二人ともまだ墓荒らしに慣れていない。    いつ通報されるか、内心冷や冷やしている。ここが低所得者の墓地でなかったら、もっと警備もしっかりしていて入れなかったかもしれない。    アンネが見つけた場所を掘ると、先ほどよりもかなり掘りやすかった。前回の墓荒らしのときを参考に掘る場所の見当を付けていたのだが、どうやら墓地によって墓石と埋葬位置は少しずつ違うらしい。    それにしても、金を渡すとアンネはよく働く。人間性は信頼できない女だが、十分な利益と明確な目的を掲げれば利用価値はあり、また秘密も守るだろうというエリザベスの読みは当たったようだ。
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