墓穴

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 そのために、エリザベスは今までの一ヶ月分の給料の三分の二をアンネに支払った。前回分と合わせたら、かなりの額になる。今までの貯蓄とちょっとした財産があったから捻出できている費用だが、これからの出費を考えるといつまで続けられるかは頭の痛い問題だった。    ただでさえアレンがやってきてからベビー用品にミルク代と嵩んでいて、自分が働ける時間も減っているのだ。    早く目的の女の骨を見つけなければ。それもこれも、全て愛しいアレンのため。    二十分ほど掘ると、エリザベスのショベルの刃先が硬いものに触れた。  「やった。あったわ」  「今回は、ちゃんとひとり分ずつ入ってる?」  「どうだろ。まって、骨壺はいくつかあるわ。新そうなやつはどれかしら」    アンネが気を利かせて懐中電灯を点ける。それも、細心の注意を払って明かりを下にむけていた。アレンの顔に光が当たったら起きてしまうかもしれないし、住宅街ではないとはいえ、人に見られないとも限らない。    骨壷は全部で三つのようだった。 「多分、この右のやつが新しいんだと思うけど、よくわからないわね」
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