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「うん。墓石にも三人の名前が刻んであるから、一個にひとり入っているので間違いないな。いいんじゃないの、三人分、ちょっとずつもらっていきなよ」
「それがよさそうね」
エリザベスは手を組んで、ほんの少し祈った。
「急いだほうがいいよ」
アンネが急かす。
分かってはいるが、やはり墓荒らしはどこか背徳的なので祈らずにはいられない。無神論者らしいアンネは、少々イライラして、あたりをきょろきょろしている。
「お許しを」
小さく囁くと、アンネを見た。
「お願いできるかしら」
「オーケー」
アンネはショベルをそっと地面に置くと、エリザベスの代わりに身をかがめて骨壷に手を伸ばした。三つの骨壷を一つずつ開けて、ほんの少しずつ骨を取り出し、持参したガラスのケースに入れていく。
暗闇の中のわずかな明かりに照らしただけだったが、なんとなくこれが新しい骨だろうというものは見当がついた。だが念のため、三つとも持ち帰ることにする。
「ありがとう。それじゃあ、埋めましょう」
アンネに手渡されたケースをウエストポーチの中にしまうと、エリザベスは立ち上がってショベルを持った。
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