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結局アレンは墓荒らしをしている間、ずっと眠っていてくれた。
エリザベスのアパートに着くと、途端に泣き出したので彼女はミルクを用意することにした。
「お疲れ様。シャワー使って」
「悪いね」
さほど悪いと感じていないように返事をすると、アンネはリュックを床に放って、シャワールームへ向かった。すぐに湯を出す音が聞こえて来た。
人の家だからと、遠慮なく大量のお湯を使っているのが分かった。
ミルクを冷ましながら、小さくため息をつく。
水道代のことを考えると、気が滅入る。だからといって、アンネにそんなこと咎められなかった。犯罪の片棒を担がせているのだ。弱みはこっちにあるといって過言ではない。第一、共犯者としては良い働きをしてくれている。大事にしなければ。
哺乳瓶の温度を確認すると、ベビー用のクッションの上でぐずっているアレンのもとへ歩み寄った。
「アレンちゃん、お待たせ。お腹すいたわね」
ほほ笑みかけて、アレンを抱き上げる。
生後二ヶ月。毎日何度も抱き上げているから実感は薄いが、それでもあの日から比べたら確実に重くなった。現在約六キロ。順調な生育だ。
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