墓穴

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 哺乳瓶の乳首を口元に持っていくと、可愛い口を一瞬大きく開いてくわえた。  んぐんぐ、と音を立てながらすごい勢いで飲んでいく。 「美味しい? いっぱい飲むのよ」  さっきまでぐずっていたのでアレンの目元は涙の跡があった。  なんて可愛いんだろう。    ふっくらとしたマシュマロみたいなほっぺ。丸くちっちゃいお鼻。芸術的に尖ったお口。目は茶色で、その周りをカールしたまつげが縁っている。  日に日に目に見えて表情も増えていき、エリザベスのアクションに反応する回数も増している。  愛しさはいつもマックスだが、その上限は毎日更新される。  可愛い、可愛いと頭の中で反芻していると、どっと疲れが押し寄せてきた。アレンを抱っこしたまま後ろに倒れて眠ってしまいたかった。 「シャワー空いたよ」   アンネの声がして、はっと目覚める。 「あ、ああ。ありがとう」 「アレーン。ごきげんかい?」  濡れた髪をタオルで拭きながら、アンネがアレンを覗き込む。アレンはちらりと黒目を動かしてアンネを見たが、相変わらずミルクに一生懸命だった。
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