墓穴

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 強いシャンプーの香りがする。ふんだんに使ったことは間違いなかった。 「アンネ、お腹空いてる? パスタでも茹でましょうか」 「いいの? 悪いね」 「いいのよ」  アンネにはこれからもしばらくは共犯者でいてもらわなくてはいけない。なるべく待遇は良くしておかなければ。  ミルクが空っぽになると、「ぷはー」と息を吐いてアレンが口をちゅぱっと動かした。 「アレンちゃん、お腹いっぱいになったかしら?」   エリザベスの問いかけに、アレンは口をむぐむぐして、目をパチっと瞬いた。満足しているようだ。 「悪いんだけど、ちょっと抱っこして、ゲップさせてくれる?」 「もちろん。アレン、おいで。抱っこだ」  あぐらをかいたアンネは、細い腕でアレンを受け取った。まだ首が据わっていないアレンを抱くのもだいぶ慣れてきたようだった。最初はおっかなびっくりだったが、今は足の間から腕を通して縦に抱いて、上手に背中をトントンしている。  エリザベスはふたたびキッチンに立った。 「エリザベスは明日休みなのか?」 「一応ね。でも、今日の骨を持ってドクターのところへ行かなきゃ。アレンの検診もあるの」
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