2日目。

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2日目。

 ――2日目。 「う、あぁあぁあぁあぁあぁ!!」 「水原君、水原君、しっかり!!」  目を開け、視点が定まるそこには、険しい表情の岩屋。 (現実は、こっちだ……)  統也はゴクリと喉を鳴らし、胸を押さえて体を起こす。 「ゅ、め……」 「水原君、すごく魘されてたぞ? キミ、大丈夫か?」 「は、はぃ……、」  昨夜はいつの間にやら眠ってしまった様だが、朝には無事に起床。 これには安堵するも、悪夢の所為で休んだ気がしない。 「水でも持ってこようか? リビングは1階だろ?」 「いえッ、要りません!」 「じゃぁ俺は頂こうかな」 「そ、それなら俺が……」 「そうか? そんじゃぁ頼むよ。 それから、出発前に出来るだけ、食料とか飲み物を車に積みたいんだけど?」 「ぇぇ、はい、あるだけ準備します、」 「着替えも欲しいなぁ」 「俺のでいいですか?」 「いやぁ、俺はキミ程スマートじゃないから」 「じゃぁ、父ので良ければ……」 「ああ。着れれば何でも良いよ」  何の準備も無いまま惨事に巻き込まれたのだから物要りなのは分かるが、随分と便利に統也を使うものだ。 然し、岩屋の調子の良さに統也が逆らう事は無い。 リビングに死体がある事を知られたくない一心だ。  統也は階段を下り、恐る恐るリビングのドアを開ける。 母親の遺体が動いた形跡は無い。やはり、頭が致命傷だった様だ。 今更ながら恐ろしい。昨日以上に恐ろしく感じる。 統也は母親を視界に入れないよう目を背けてキッチンに走り、非常食やら手当たり次第に2階へ持ち帰る。 「水原君、顔色悪いけど本当に大丈夫か? もう1日くらい休んだ方が良いか?」 「いいえっ、大丈夫ですからっ、そうゆう岩屋サンだって顔ヤツレてますよっ?」  適当な言い訳を追及するでも無く、岩屋は少しほっそりしたか知れない頬を触りながら、統也の持ち帰った食料の数々に満足する。 「まぁ、これなら当分もちそうだな! 鞄に詰めて1度に運べるようにしよう!」  勿論、荷造りも統也の仕事。 あれこれ指示するばかりの岩屋はリーダー気取り。 統也は背中に田島を背負い、ズリ落ちないよう紐で括りつけ、両手に大きな旅行鞄を持つ。 岩屋はリュック1つを抱えると、運転席に向かって全力ダッシュ。 昨日と同様、統也は田島と共に後部座席に転がり込む。車に乗るのも一苦労。
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