3日目。

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 水原工業を目指す道中も、彷徨い歩く死者の姿と血だまりの風景は変わらない。 そんな中、目的地を間近に車は立ち往生。 岩屋がアクセルを踏むに躊躇えば、統也は後部座席から身を乗り出してフロントガラス越しの景色を注視する。 「これ、バリケード?」  C市の中心部に繋がる見晴らしの良い1本道、この周辺の死者も駆除された後なのか、静まり返っている。 その代わり、単管バリケードにガードフェンス・プラゲートが横倒しになり、赤い三角コーンが、そこ彼処に散らばっている。この様子からして、1度は警察や機動隊が機能したのだろう。 然し、止む無く撤退したか、死者達の餌食となったか、どちらにせよC市の中心部が陥落したのは一目瞭然。前途の無さに岩屋はガシャガシャと頭を掻く。 「こんなんじゃ進めねぇぞ! ムリヤリ乗り上げでもしたらタイヤがパンクしちまう!」  岩屋の車は生命線と言って過ぎる事は無い。 移動力を失えない以上、車を前進させる訳にはいかない。 とは言え、水原工業へは ここから歩けば20分はかかる。 そこからオフィスの15階を目指すともなれば、かなりの時間を要するだろう。 この先をどう進むべきかを統也が思量する中、日夏がすり寄る。 「と、統也サン……多分ここ、いる……」 「いるって、」 「怪物が……ゾンビじゃなくて、人間の化け物が……」 「な、何だ!? 何処だ!? 何処にいる!?」  この手の話には耳聡い岩屋は、運転席で右往左往。日夏は頭を振る。 「そうじゃなくてっ、 見てください、あのグリーンネット、不自然じゃありませんかっ?」 「ボロボロなのがどうしたって言うんだよッ、ソンビが食い千切ったんじゃねぇのか!?」 「だったらもっと草臥れてると思いますっ、それに…… ゾンビが人間以外に噛みついてる所なんて、見た事ありません……」 「ぃ、嫌な事言うなよ、靖田君っ」 「このバリケードを壊したのはきっと、人間の化け物ですよ!」  怖がりな日夏だからこそ、些細な違いも敏感に感じ取れるのだろう。 酷く怯え、頭を抱えて座席にうつ伏せてしまう。 だが、ここまで来て引き返す事は出来ない。 何としても父親の会社まで辿り着きたい統也は、日夏の背に手を置き、意を決する。 「日夏、お前が自衛隊から持って来た装備で、まだ弾が残ってる銃はあるか?」  車内には、F地区の自衛隊駐屯地から持ち込んだ物騒な武器が積まれた儘になっている。 日夏はアサルトライフトとハンドガンを一丁ずつ手に取ると、統也に差し出す。
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