3日目。

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「コ、コレとコレは使ってませんけど……」 「弾は入ってるよな?」 「一応は……」 「使い方、分かるか?」 「え!?」 「だって昨日、撃ってたじゃないか」 「ぁ、えぇ……」  日夏は戸惑いながらも、指を指す。 「コ、ココとココ……安全装置って言うらしくて……」 「詳しく無いのか?」 「ご、ごめんなさい…… あそこで1人で閉じ篭ってて、何も持ってないのは怖かったから、ネットで調べながら弾を詰めただけで……だから、詳しい事は分からなくて……」 「そうか」  ガンマニアでは無かった様だ。 ネットの情報に頼りきりな日夏の経験値が低いのは否めないが、今は受け売りの知識でも有り難い。統也は頷く。 「コレを外すと弾が出る?」 「そうでした。僕が使った時は」 「それで、ココが引き金ってヤツだよな?」 「は、はい。……あの、統也サン、まさか行くつもり、ですか……?」  これは岩屋も聞きたかった事だ。日夏と共に統也の反応を窺う。 「岩屋サンの言いたい事は分かりますよ? でも、少し見ておきたいんです」 「ダメだダメ!! 何が出るか分かんねぇのに、こんなトコ、1秒だっていたくねぇ!!」 「でも、バリケードがどう壊されたのか、見ておいた方がいいと思いませんか? 日夏の言う人間の化け物が本当にいるのか、これからそうゆうのと出くわすかも知れない。だから、少しでも知っておきたいんです」  今後の生存戦略を考えれば、敵に成り得る相手の情報を見落とすべきでは無い。 統也の最もな言い分に、岩屋は折れる。 「うぅ、まぁ確かに……確かにな。 うん、分かった。確認な、それだけだ。早くしろな!」 「はい」  ハンドガンは背中の腰ベルトに差し、統也は単身、車を降りる。  抱え持ったアサルトライフルのセーフティーを解除。 発砲できる準備を整えてしまえば、緊張感は一気に増す。 周囲を見やって足を運ばせるが、この界隈に人影は確認できない。 死者は建物の中に潜んでいるのだろうか、置き去りにされたバリケード群は同じ方向に向かって倒れている様子から、人の勢いに追いやられたものだと感じる。 「グリーンネット……」  日夏が疑いを持っていた物だ。 拾い上げてみれば、切れ味の良いナイフで切り刻まれた形跡がある。 (ヤツらに道具を使う知識があるとは思えない。 そうなると、誰かがわざと……?) 『狂った殺人鬼です! 怪物です! 無抵抗な人を殺してるのを僕は見たんです! 僕も殺される所だった! 生存者なのに……同じ生存者なのに!!』  日夏の言葉を思い出せば、背筋が凍る。 ならば、敵は死者だけでは無い。唯一の同胞すらが危険分子。
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